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最初は裏の林のイメージで毎日新聞日曜版に連載された、橋谷晃の「雪の森を歩こう」を再録します。 「ネイチャースキーはどんな場所でできますか?」 とよく聞かれる。多めの雪と、いい自然と、急すぎない地形があれば、 どこでもできるのがこの遊びのいいところだ。 特に最初は、「裏の林」のようなイメージの場所で始めるのを、おすすめしたい。 雪国の人なら、文字通り裏の林へ。 街に住む人なら、今までスキーやハイキング、キャンプなどで出かけた雪国の高原の 「あそこ、気持いい林だったよなぁ」と思えたような場所へ行ってみるといい。 人里から近くても、ふだんはまったく人が入らない林だったりするので、 意外に身近な場所で野生動物たちが暮らしているのを感じることができる。 昨晩泊まった部屋の窓のすぐ近くで、 ウサギやタヌキの足跡を見つけてびっくりするかもしれない。 そのようなエリアでも、「なんだかすごい所に来てしまったなあ」と感じられるのが、 ネイチャースキーの不思議なところだ。 前に「雪のホワイトマジック」として紹介した独特の視覚効果のおかげで、 すべてが白く飾られた、幻想的な情景が展開される。 森の内側に自由に入って行けることで、距離的には人里から近くても、 感覚的には自然の奥深い場所になる。 そんなに広いエリアでなくてもいい。 他の季節のように遊歩道という「線」ではなく、自由にどこでも歩ける「面」で、 くまなく楽しむことができるからだ。 さっき通った所から5メートル離れた場所を歩くだけで、 新しい足跡やキツツキの巣穴など、多くの発見が待っていることもある。 いい状態の自然と、その中での発見にワクワクできる心さえあれば、 わずか1〜2キロ四方の林の中でも、一日中遊ぶことができる。 こういった場所なら、雪のフィールドに出かける不安も少ない。 あえて長い距離を歩く必要もない。 ひたすら歩き続けても、「疲れただけで何も目に入らなかった」 ということになりかねないので、むしろゆっくりと流れる時間を大切にした方が、 心に感じるものは多いかもしれない。 さて、冒頭の3つの条件にあてはまり、 しかもそんなに広くなくていいのなら、 ネイチャースキーを楽しめるエリアは無数にあるといえるだろう。 好みの「私だけのエリア」を探すのも、喜びの一つだ。 私の好みとしては、やはり大きな樹のある森の中がいい。 広い展望の雪原もいいけれど、一日中いると少々飽きる。森には生き物の気配が満ちて、 いのちのエネルギーが全身で感じられる。 大木の樹間は深呼吸しながらゆっくり歩くのにふさわしい。 この先どんな風景が待っているのだろうかという、 ドキドキと心ときめく探検気分も、森の中ならではのものだ。 樹があるからこそ、ネイチャースキーは飽きることがない。 (1997年11月30日掲載) |