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植生を傷つけぬため、あと少し毎日新聞日曜版に連載された、橋谷晃の「雪の森を歩こう」を再録します。 各地でスキー場がオープンし始めた。 シーズン前の事務仕事をしていても、 ふと気がつくと心は遠い雪の森をさまよっている。 しかし実際にフィールドに出られるのは、まだ先だ。 野山が白くなり、スキー場が営業を始めても、 ネイチャースキーシーズンにはまだ少し早い。 森の下の地面に雪が積もったように見えても、 じつは笹などの下草の上に雪が乗っているだけで、 その下は空洞だ。こんな時期に無理やりスキーで入っても、 空洞を踏み抜くだけで動きづらく、植生も痛めかねない。 まあ場所によっては道の上だけを選んで歩けばなんとか可能なのだが、 それでは本来の楽しみに遠く及ばない。 さらに積もって、雪の重みで空洞が埋まり、 笹や灌木が寝てしまうと、いよいよシーズンの到来。 もちろん場所や年、そして下草の植生などによって違うが、 確実なところではおおよそ1月中旬以降が平均で、 下地が牧場などの草地は、シーズン・インがいちばん早い。 2月は気温が低いので、サラサラの粉雪が期待できる。 雪の深い時期なので、豪雪地帯の平地だと、 スキーを履いても雪にもぐってしまい、 歩くのに苦労することがある。こんな時期は晴天確率の高い、 太平洋側の気候の影響を受けやすい地域をねらうと、 雪も深くなくて快適だ。また豪雪地帯でも、 下りが多いようにルートを工夫して、 ふかふか雪の感触を楽しみながら滑るのは最高に気持ちいい。 雪の降る日が多い時期だが、そのかわり新雪直後の晴天など、 息をのむような光景に出会えるのもこの季節だ。 ただし沢沿いの急斜面などは、 樹林帯でもなだれの危険があるので近寄らないほうがいい。 3月は気温が上がるので、雪が締まって歩きやい。 暖かくてのんびりできる、ネイチャースキーのハイシーズンだ。 豪雪地帯なら、まだまだ雪はたっぷりある。 うららかな春の日差しの下、小鳥たちは歌い始め、 冬芽は少しずつふくらむ。 気温が上がりすぎて雪が重いこともあるが、 思わず昼寝をしたくなるようなゆったり気分には代えられない。 4月になり、スキー場がクローズしても、 少し標高を上げればまだ充分楽しめる所は多い。山岳地帯は、 これからがシーズン・インだ。場所によっては、 5月を過ぎても楽しめる。ただし山岳地帯は「裏の林」 のようなわけにはいかないので、それなりの備えが必要だ。 個人的にももちろんだが、 スクールの経営という立場から言っても、 12月から早く始めたくてしかたない。 しかし動きづらくては参加者の印象は悪いだろうし、 それに自然を傷つけては本末転倒。元も子もないので、 長い目で見てしばらくはじっとガマン。 そのかわりシーズン終わりはゲレンデスキーより遅く、 春までずっと楽しめるのだから。 (1997年12月7日掲載) |